以下は、『人生相談万事OK!』という本に書かれている質問と、それに対する回答である。
Q70:犬が嫌いです。
夫の実家は大の犬好きで家の中で放し飼いにしています。しかし私は大の犬嫌い。昔、母が「近づくとかまれる」と言っていたこともあります。犬は見抜いているのでしょう。ほかの人にはキュイーンと甘えるのに私だけにはほえまくります。私はこの家の者として失格でしょうか。たかが犬、されど犬。かなりのストレスです。(いまいち、28歳)
A70:犬クッキーで手なずける。
パブロフの犬という有名な実験がありました。べるを鳴らしてエサ、ベルを鳴らしてエサをくりかえしたら、しまいに犬が、ベルの音を聞いただけで、エサを与えなくてもよだれ(注)を出すようになったというのです。あれを応用します。
ペットショップへ走り、おいしそうな犬用のクッキーを( 41 )。それを夫の実家に行くときはかならず持参し、ポケットに入れておきます。
( 42 )あなたが取るべき態度は、吠えられても、動じないってことです。手をひっこめたり、叫び声をあげたり、逃げ腰になったりしちゃいけません。犬に足元を見られます。といって、犬の目をまっすぐ見てはいけません。犬は威嚇されてると思いこむものなんです。このへん、人間の常識は通じませんから。目は合わせない、それが( 43 )礼儀作法です。
さて、吠えられても動じず、目をそらしつつ、手のひらに犬クッキーをのせて差し出します。犬の歯が当たらないので、指でつまんでやるよりこわくないです。あなたは今後、その犬に会ったら、かならず、犬クッキーをやることにします。それをくりかえすうちに、犬は、あなた、イコール、クッキーってのを学習し、やがて、( 44 )でしょう。
以上は、よく吠えるうちの犬に対して、犬嫌いの友人がこころみたことです。いまだに友人の顔を見ると吠えますが、それはクッキーほしさの吠え声で、もらえばたちまちおとなしくなります。友人もそれがわかってるので、おびえなくなりました。
クッキーをやったら、あとは無視します。むりはしません。犬好きがいるように、犬嫌いが( 45 )。
(伊藤比呂美『人生相談万事OK!』による)
(注)よだれ:つば。口から流れ出る液体